妊娠の症例

帝王切開後瘢痕症候群を克服して ~二人目不妊~

K.S 様(39歳 奈良県)

20代の頃から月経痛がひどく、1日に数回鎮痛剤を飲まないと堪えられないほどでした。右の卵管が閉塞していましたが、自然妊娠への思いが強く、30歳のときに『一陽館薬局』漢方相談に行きました。その甲斐あって、漢方を飲みはじめて5ヶ月で自然妊娠することができたのです。ところが、このときの出産では逆子が治らず、帝王切開になりました。

産後1年で月経が再開しましたが、第一子妊娠前の月経とは、どうも様子が違います。月経痛は、第一子妊娠前に比べて軽く、鎮痛剤は月経中に1回服用する程度に。これは嬉しかったのですが……、本格的な月経が6日で終了した後も微量の出血が2週間ほどダラダラ続くのです。月経周期も、30日以上になることが多くなっていました。不調を治してから妊娠したいと考え、再び『一陽館薬局』漢方相談に行きました。

漢方を服用しはじめて、月経時の血の塊は減り、月経周期は比較的すぐに整ったように思われましたが、漢方服用から2年が近づいても、体調不良時には中間出血が3日ほどあり、なかなかスムーズに妊娠に至らなかったので、不妊治療の専門クリニックで不妊検査を受けてみることにしました。すると詰まっているといわれていた右側の卵管も、子宮卵管検査によって通過性が改善したのか、両方とも通っているとの結果に。その代わりに甲状腺機能の問題が見つかり、チラージンの服用を開始しました。

漢方服用2年8ヶ月、排卵誘発剤を使わずに長く自然周期でのタイミング法を続けていましたが、より確実に排卵を促すため、排卵前に注射薬を使用してみることになりました。すると、基礎体温が不安定になり、低温期は高めで推移し、月経時にも下がりきらず、翌周期は、周期11日目から1週間ほど微量の出血が続くことに。月経周期が乱れ、引っ越しもあったため、いったん通院をお休みすることにしました。

その後、漢方服用3年2ヶ月自然周期体外受精を行っている病院に転院。採卵後、『帝王切開後瘢痕症候群』が見つかりました。そこで、子宮内の血液溜まりの状態によって、移植するかどうかを検討しながら進める方針に。さらに、低刺激周期での採卵も試みるも、ホルモン剤を使用すると月経周期が乱れることもあり、妊娠に向けて医学的な領域での課題をどう進めるかに悩むことになりました。血液の溜まりがないので、移植可能との判断となった周期は、卵巣の腫れが治まらず痛みが続き周期も乱れたため移植は見送り。漢方服用3年7ヶ月でようやく凍結融解胚盤胞を移植するも、残念ながら陰性という結果になってしまいました。そこで、子宮内視鏡検査で『帝王切開後瘢痕症候群』の状況をくわしく検査してもらうと、帝王切開後の傷跡がポケットのようになり、血液がたまっていて、さらに血管から微量に出血していました。

『帝王切開後瘢痕症候群』の治療のため手術ができる病院に転院したのは、漢方服用から4年5ヶ月が経っていました。手術は成功。不妊治療期間中はホルモン剤等によって月経周期が乱れて基礎体温も崩れていましたが、不妊治療をお休みしてしばらく経つと安定。採卵してもうまくいかないのは、ホルモン剤を使った治療が自分の体に合わないのではないか……、そんな気がして、なかなか採卵に気持ちを向けることができませんでした。せっかく、手術までして、妊娠できる子宮となったのだから、しばらくは自然妊娠をめざして様子を見たいと思ったのです。

再び体外受精を受ける決心がつき転院したのは、漢方服用5年4ヶ月のことでした。あらためて不妊検査を受けたところ、風疹の抗体が消失していることがわかり、ワクチン接種したため避妊が必要になるなど、なかなか前へ進みません。漢方服用5年8ヶ月、アンタゴニスト法での採卵に。すると、第一子のときからずっと問題なかったはずの精子の状態が良くない、という想定外のアクシデントに見舞われ、顕微授精になりました。不妊治療では、女性の加齢による「卵子の老化」が問題にされがちですが、男性にも同じだけの時間経過があり年齢を重ねただけの「精子の老化」が見られました。

そして、ついに漢方服用5年9ヶ月、待ちに待った二人目の赤ちゃんをおなかに迎えることができました! 約6年もの間、病院をいくつも変わる中、常にそばで相談に乗り続け、体づくりを支えてくださった『一陽館薬局』の樫谷陽子先生には、心から感謝しています。

『帝王切開後瘢痕症候群』の手術と高度生殖医療。
そして6年もの間たゆまず続けた漢方での体づくり

2009年

30歳で『一陽館薬局』初回相談
右側卵管閉塞。20歳代は月経痛がひどく、1日に数回鎮痛剤を服用

2010年

漢方服用5ヶ月 自然妊娠
31歳で出産。このとき逆子が直らず帝王切開にて出産

2012年10月

33歳で再び漢方相談(第2子希望)
不調を回復して妊娠に臨みたい。
服用したもの:調合漢方薬3種類

2012年11月

漢方薬服用1ヶ月
経血にみられた血塊が減少し、月経周期が28日になったが、高温期といえる期間は9日程度と短い。
排卵期にも出血があり、数日経ってから高温期に達する。

2012年12月

漢方薬服用2ヶ月
月経終了後の中間出血期間が短縮し、淡赤色のオリモノが3日程度になった。経血塊は減少したとはいえ、まだ見られる。
基礎体温は、なだらかに上昇し下降するパターン。

2013年4月

漢方薬服用6ヶ月
月経後の中間出血は見られない。
Kさん「基礎体温も安定し、ようやく体調が戻ってきたという感じがしました」

2014年9月

漢方服用1年11ヶ月
風邪をひいたり、疲れがたまったりすると、やはり月経後に中間出血が3日程度起こる。
排卵痛や月経痛も体調次第で、強くなるときもある。
Kさん「第一子のときほどスムーズに妊娠に至らないため、不妊治療の専門クリニックを受診し、不妊検査を受けることにしました」

2014年11月

漢方服用2年1ヶ月
専門クリニックでの子宮卵管造影検査で、卵管は両方開通。
甲状腺機能が不安定で、要経過観察。自然周期でのタイミング法

2015年2月

漢方服用2年4ヶ月
甲状腺炎症時にホルモン値が上昇することから、チラージン服用開始。

2015年6月

漢方服用2年8ヶ月
排卵が不確定なため排卵誘発剤(注射)を使用。基礎体温が不安定に。
Kさん「月経周期が不規則になり、引っ越しなどもあったため、いったん通院をおやすみしました」

2015年10月

漢方服用3年2ヶ月
積極的に体外受精を検討し、転院。

2015年11月

漢方服用3年3ヶ月
自然周期で採卵し、移植へ向かう。
『帝王切開後瘢痕症候群』が判明したが、血液の溜りが少ない周期に移植か、血液を洗浄・吸引して移植する方法で対処すると言われた。
黄体機能不全も判明。AMH1.32

2015年12月

低刺激周期 採卵(11個採卵し、胚盤胞1個凍結)

2016年3月

漢方服用3年7ヶ月
凍結融解胚盤胞移植をするも、陰性。
子宮内視鏡検査で『帝王切開後瘢痕症候群』の状況を詳しく検査。瘢痕部分のポケットの大きさが周期によっては大きくなるので外科的治療をしなければ妊娠は難しいし、妊娠できたとしても切迫子宮破裂のリスクがあり危険だと言われました。

2016年5月

漢方服用3年9ヶ月
フェマーラ内服により採卵をし、体外受精をしたが、移植できず

2016年7月

人工授精

2016年9月

人工授精

2016年10月

帝王切開後瘢痕症候群の治療を検討
Kさん「月経周期の乱れ、刺激法での採卵が不調、卵子の質の低下などが続き、“先が見えない”と感じていました」。

2017年1月

漢方服用4年5ヶ月
帝王切開後瘢痕症候群の治療が可能な病院へ転院し、手術。
Kさん「せっかく手術までして、妊娠できる子宮になったのだから、しばらくは自然妊娠を目指して様子を見たいと感じました」

<帝王切開後瘢痕症候群の術前術後>
■2016/12/2 MRI(術前)

丸で囲んだ部分が、子宮内に血液が溜まっているところ。

■2017/03/27 MRI(術後)

2017年12月

漢方服用5年4ヶ月
体外受精を目的に転院。
Kさん「再び中間出血が少量認められるようになったため、再発する前の妊娠を目指し、年齢も考慮して体外受精にチャレンジしようと思いました」

2018年4月

漢方服用5年8ヶ月
アンタゴニスト法により採卵。顕微授精後、新鮮胚移植

2018年5月

漢方服用5年9ヶ月
39歳で妊娠判定陽性

●同じ悩みを抱えるみなさまへ

第一子の時に漢方を服用し、比較的早く体温・体調が整い自然妊娠できたため、不妊治療専門の病院で積極的にどんどん治療を進めるより、漢方と併用して総合的に治療していく方が妊娠への近道だと思い、『一陽館薬局』の樫谷先生にご相談しました。

振り返ってみると6年は本当に長かったな……と思います。その間にはいろいろ悩んだことも、時には涙したこともありました。私の場合は不妊の原因が『 帝王切開瘢痕症候群 』だとはっきりしていたにも関わらず、それが原因だと知らなかったこと、それを診断・治療できる医師がまだまだ少ないことが、6年もかかってしまった一番の要因だったと思います。
第一子を自然妊娠しているので、体外受精までしなくても大丈夫かな……という思いがどこかにありました。6年と思うと自分でも驚きます。

治療の話をする相手が夫だけで(夫は、おもに聞く担当なので)一人で考えたり悩むことが多かったのですが、樫谷先生のところに通って話をするうちに前向きになれたり、聞いてもらえてスッキリしたことがたくさんありました。ですので樫谷先生には、私の治療に対するモチベーションを保っていただき、いつもベストな方向に導いていただけたので本当に感謝しています。

今回最後の体外受精にしようと決めてチャレンジしたところ、ようやく願いが叶いました。自分の妊娠できる力を信じて問題をクリアしていけば、きっと良い結果が得られると思います。

※コメント等は、個人的な感想によるものであり、実感には個人差があります。

●K.S.さまへのメッセージ

お一人目のご相談時の様子からは、お二人目でここまで期間がかかるという見通しはなく、漢方服用により体質的な問題が改善に向かう中、あれこれ試みるも妊娠に至らない時間が経過することに戸惑いを感じるときもありました。
ようやく第一子出産時の状態が今回の妊娠を妨げる要因であることが判明しましたが、適切な治療を受けるための医療機関を探すのも難渋し、また、積極的に不妊治療を受けても、薬剤を使うと排卵や周期が大きく乱れるばかりで効率が上がらず、採卵もスムーズに進まず厳しい状態が続きました。
今回、本当に苦労された「帝王切開後瘢痕症候群」について、「もっと多くの方に知っていただき、同じような状況でお困りの方の解決の糸口となれば……」という思いから、貴重な体験の掲載にご協力をいただくことになりました。
AMHが低く、年齢的にも急ぎたい条件であっても、冷静に課題を克服される辛抱強さが結果につながったと思います。

一陽館薬局 かしたに陽子

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