その他の症状・病気

習慣性流産について

習慣性流産の病態

自然流産や早産を3回以上繰り返す場合で、50%は原因が不明とされます。
流産とは、妊娠反応が陽性で子宮内に胎児または胎嚢が確認された後、その成長が停止した状態になり、妊娠22週までに赤ちゃんが母体から外に出てしまうことをいいます。自然流産が起こる頻度は、全妊娠の10~15%です。

流産の種類

  • 切迫流産:流産の危険性があり、出血や下腹痛を伴う状態。妊娠継続の可能性がある状態です。
  • 進行流産:出血や下腹痛は増強し、妊娠継続が不可能な状態まで進行してしまった状態をいいます。
  • 稽留流産:出血や腹痛などの自覚症状がなく、子宮内で胎児が死亡した状態で停滞したものをいいます。
  • 不全流産:妊卵や胎盤などの一部は子宮外に排出されたが、一部はまだ子宮内に残った状態にあり、出血や腹痛を伴います。
  • 完全流産:妊卵および胎盤などの全部が子宮外に排出された状態をいいます。
  • 感染流産:性器の感染に起因した流産をいいますが、通常は子宮内の流産内容物に細菌感染が起こり発熱した状態をいいます。

習慣性流産の原因

染色体異常が自然流産胎児の約70%を占めますが、ほかに免疫異常、内分泌異常、環境因子、子宮や頸管の病変、感染症、男性因子などです。

習慣性流産に対する西洋医学での治療法

習慣性流産の原因も様々で、状態や原因によって対応も異なります。

習慣性流産に対する漢方での対応

漢方では赤ちゃんが元気に育つ環境を整えるには、少なくとも3つの条件が必要です。
十分なホルモン分泌や正常な生殖活動が行われるには「腎」が十分に機能しなければなりません。「腎」の働きが不足すると「腎虚」となり、質の良い卵をつくる事ができなくなります。妊娠までの過程は、一つひとつが独立して個別に成立するものではなく、一連のつながりある変化ですから、元気な卵ができないということは良い受精卵もできにくく、それは着床のしづらさにつながり、結果、妊娠の維持が難しいというふうになります。
次に、身体の潤いや栄養である「血」は、胎児を養う「養胎」という役割を担い、妊娠維持に関わっています。この栄養は卵が成熟する際の栄養ともつながります。
そして、体を守り維持する「気」は、妊娠を維持するエネルギーとして大変重要な要素です。目に見えて確認できるものではないため、「気」を実感する機会は少ないかもしれませんが、普段から疲れやすかったり下痢をしやすい体質の方は、 胎児を維持する力にも不足が考えられます。
漢方による体質改善は、「腎」「血」「気」を補うことで妊娠維持をする考えです。

習慣性流産と不妊と漢方

医学的な原因がなくても、流産は起こる場合があります。また、何の問題もなくても偶発的に起きてしまう可能性もゼロではありません。妊娠を迎える母体側としてできることは、流産しない備えだと考えます。低下した働きを高め、不足している状態を補い、バランスを整えるのが漢方の役割です。幾度かの流産を経験された方が、漢方薬で体質改善に取り組まれた結果、無事に出産されたケースはたくさんあります。お悩みの方には、漢方をおすすめします。

不育症について

不育症の病態

妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して結果的に子供を持てない場合、不育症と呼びます。
習慣性(あるいは反復)流産は妊娠22週以降の死産や生後1週間以内の新生児死亡は含まれませんが、不育症はより広い意味で用いられています。一般的には2回連続した流産・死産があれば不育症と診断し、原因を探索します。また1人目が正常に分娩しても、2人目、3人目が続けて流産や死産になった際、続発性不育症として検査をし、治療を行なう場合があります。

不育症の症状

妊娠はしますが、流産、早産、死産、新生児死亡のため子どもが得られない状況。
子宮奇形、感染症、染色体異常、自己免疫疾患などを含む色々な異常があげられますが、実際の原因を明らかにできるのは半数以下といわれます。原因が明らかにできないまま従来からの習慣的な医療を漫然と受けている場合も少なくないといわれます。

不育症の原因

厚生労働研究班による日本での不育症のリスク因子別頻度の集計では、子宮の形が悪い子宮形態異常が7.8%、甲状腺の異常が6.8%、両親のどちらかの染色体異常が4.6%、抗リン脂質抗体症候群が10.2%、凝固因子異常として第XII因子欠乏症が7.2%、プロテインS欠乏症が7.4%となっています。
流産の原因では、最も頻度の高いのが胎児の染色体異常で約80%を占めます。
リスク因子を調べて原因がはっきりとした人は治療を行ないますし、原因が判らなかった原因不明(偶発的な流産をくり返したと思われる方)の方は何も治療をしなくても、次回の妊娠で成功することもあります。

不育症に対する西洋医学での治療法

不育症のリスクのうち、夫婦染色体異常、偶発的流産・リスク因子不明例ではカウンセリングのみの場合もあります。夫婦染色体異常例では流産率は高いのですが最終的には多くの方が子どもを持てることも、判ってきました。アスピリン療法、ヘパリン療法、ステロイド療法などの薬物療法も行われます。

不育症に対する漢方での対応

漢方では、赤ちゃんが育ちやすい状態に整えることが期待できます。
流産への対応と同様に妊娠を維持するために必要な3つの条件を整えていきます。
十分なホルモン分泌や正常な生殖活動が行われるには「腎」が十分に機能しなければなりません。「腎」の働きが不足すると「腎虚」となり、質の良い卵をつくる事ができなくなります。妊娠までの過程は、一つひとつが独立して個別に成立するものではなく、一連のつながりある変化ですから、元気な卵ができないということは良い受精卵もできにくく、それは着床のしづらさにつながり、結果、妊娠の維持が難しいというふうになります。
次に、身体の潤いや栄養である「血」は、胎児を養う「養胎」という役割を担い、妊娠維持に関わっています。この栄養は卵が成熟する際の栄養ともつながります。
そして、体を守り維持する「気」は、妊娠を維持するエネルギーとして大変重要な要素です。目に見えて確認できるものではないため、「気」を実感する機会は少ないかもしれませんが、普段から疲れやすかったり下痢をしやすい体質の方は、 胎児を維持する力にも不足が考えられます。
漢方による体質改善は、「腎」「血」「気」を補うことで妊娠維持をする考えです。

不育症と不妊と漢方

妊娠の喜びからの一転は、1度でも大変なショックであることと思います。ただ、思い悩むほど、不安を感じるほど、心と体に負担をかけてしまうことにつながるという反面もあります。漢方では、「心身一如」(心と体はひとつのもの)と考えます。
カウンセリングで心を癒しながら、漢方薬で気のめぐりを整えることが、次の妊娠と妊娠維持へつながります。漢方薬による精神的なリラックスは副作用の心配もなく、無理なく継続できるものとして、多くの方が利用されて、妊娠維持・無事出産を迎えられています。

免疫性不妊(抗精子抗体)について

免疫性不妊(抗精子抗体)の病態

精子を外部からの異物とみなし攻撃してしまう抗体は、男女いずれにも発生することがあります。不妊男性の6%、不妊女性の13%が精子の動きを抑制する抗体を持つとされています。

免疫性不妊(抗精子抗体)の症状

抗精子抗体は、女性では子宮頚管液、子宮腔、卵管内、卵胞液などに認められ、精液所見には問題がないのにフーナーテスト不良となります。男性では、精巣内、血中、精漿中などに認められ、精子の運動性を低下させる抗体の場合、精液所見は不良になります。

免疫性不妊(抗精子抗体)の原因

女性では抗精子抗体は、結婚後に精子に被曝されたことによります。男性は、精管閉鎖や精管結紮のような場合に、精子が精管外に進出し異種抗原と認識されて抗体が産生されます。
免疫性不妊(抗精子抗体)に対する西洋医学での治療法
抗体価が10未満であれば人工授精により子宮頚管液での接触を避けることが可能ですが、子宮腔内、卵管内、卵胞液内の抗体との接触は避けられないため、抗体価が高い場合は体外受精でなければ妊娠は難しいとされます。

免疫性不妊(抗精子抗体)に対する漢方での対応

抗精子抗体が産生されるのは、体の免疫反応が失調したためと考えられます。つまりアレルギー反応といえます。アレルギー体質の改善には、体の「気」「血」「水」のバランスの崩れを立て直すことが必要です。また、生殖活動の根本をコントロールする腎の働きを整えることにより、正常な身体機能が発揮されるよう整えていくことも可能になります。

免疫性不妊(抗精子抗体)と不妊と漢方

漢方薬によって本来の免疫バランスが回復すると、本来の身体機能が発揮できるようになります。特に、不妊や流産の原因が不明な場合には、体の状態が整うことで妊娠が実現したり、治療成果が高まることも期待できます。まずは、体づくりから見直し漢方で整えるのも選択肢のひとつといえます。

抗リン脂質抗体について

抗リン脂質抗体の病態

自己の体内にある物質に対し抗体を産生し、様々な異常をもたらすものを自己免疫疾患といいます。抗リン脂質抗体は、習慣性流産の10~16%にみられます。

抗リン脂質抗体の原因

リン脂質抗体は、血管内皮や血小板の細胞膜を構成する物質で、それに対する抗リン脂質抗体は、血小板や血管壁に作用し血栓を引き起こす誘因となり、血管収縮を起こします。この現象が胎盤や子宮内膜の着床部位に起こり流産を誘発すると考えられています。

抗リン脂質抗体に対する西洋医学での治療法

抗リン脂質抗体陽性で反復流産の場合は、血液凝固能を延長させて血栓を防ぎます。低用量アスピリン療法、低用量ヘパリン療法、ステロイド療法が行われます。

抗リン脂質抗体に対する漢方での対応

漢方では、全体の体質バランスを整えることを基本に西洋薬との併用により成果を上げています。抗リン脂質抗体陽性であっても、西洋薬での薬物治療に加え、漢方による体づくりを行うことで無事に妊娠・出産されるケースがたくさんあります。

抗リン脂質抗体と不妊と漢方

漢方では、免疫バランスを整え、血のめぐりを整え、妊娠維持の力を整えることが期待できます。西洋医学での薬物治療と漢方薬による体調の調整を併用することで、より妊娠維持への成果を高めることにもつながります。

抗核抗体について

抗核抗体の病態

抗精子抗体や抗リン脂質抗体と同様に、自己の体内にある物質に対し抗体を産生し、様々な異常をもたらすものを自己免疫疾患のひとつです。

抗核抗体の症状

抗核抗体は、もともと膠原病の指標で、不妊症との直接的な因果関係も明確ではありませんが、抗核抗体陽性を示す場合に、習慣流産や血栓症を誘発し不妊症や不育症の原因となりうる抗リン脂質抗体症候群(APS)陽性の割合が20%程度含まれるとされます。また難治性不妊例では抗リン脂質抗体陽性例が多くに確認されるため検査の有用性が高いとされています。

抗核抗体に対する西洋医学での治療法

抗核抗体陽性であっても問題なく妊娠・出産されるケースはたくさんあります。抗核抗体陽性だけを不妊原因として特定できるようなものではなく、総合的な検査診断にもとづき治療が行われます。薬物治療としてステロイド療法などが行われます。

抗核抗体に対する漢方での対応

漢方では、全体の体質バランスを整えることを基本に西洋薬との併用により成果を上げています。抗核抗体陽性であっても、西洋薬での薬物治療に加え、漢方による体づくりを行うことで無事に妊娠・出産されるケースがたくさんあります。

抗核抗体と不妊と漢方

漢方では、免疫バランスを整え、血のめぐりを整え、妊娠維持の力を整えることが期待できます。西洋医学での薬物治療と漢方薬による体調の調整を併用することで、より妊娠維持への成果を高めることにもつながります。

機能性不妊(原因不明不妊)について

機能性不妊(原因不明不妊)の病態

妊娠を希望しているのに1年以上妊娠せず、不妊の基本検査(精液検査・フーナーテスト・頸管粘液検査・基礎体温・超音波検査および卵管疎通性検査など)で不妊原因が見つからない場合は、機能性不妊(原因不明不妊)と診断され、不妊症のうち10~15%が該当します。さらに腹腔鏡検査を行った場合は、不妊原因が特定できない割合は10%以下になります。

機能性不妊(原因不明不妊)の症状

健康なカップルの周期あたりの妊娠率は25%ですが、機能性不妊と診断された場合は1周期あたり1.5~3%の妊娠率しか期待できないとされます。

機能性不妊(原因不明不妊)の原因

受精障害(精子または卵に起因するもの)との関連性、潜在的な黄体機能不全や黄体化非破裂卵胞との関連性が推測され、主要原因のひとつに卵管采の卵の捕捉障害があると考えられています。

機能性不妊(原因不明不妊)に対する西洋医学での治療法

腹腔鏡検査、子宮鏡、抗精子抗体検査、ハムスターテストなどの特殊検査も行う場合もあります。不妊原因が見つからないことから、自然妊娠を待つか、排卵誘発剤や人工授精や体外受精などを行いながら妊娠を目指すこととなるようです。

機能性不妊(原因不明不妊)に対する漢方での対応

医学的な不妊の基本検査で異常がないのに妊娠が成立しない原因として考えられるのは、卵の質、精子の機能、精子と卵の相互作用の異常、卵管因子、環境因子、子宮内膜症、着床など色々な背景があげられます。
漢方では、妊娠するためのカラダ側の条件として、3つの要素が必要と考え、体質改善を進めます。
まず、十分なホルモン分泌や正常な生殖活動が行われるには「腎」が十分に機能しなければなりません。「腎」の働きが不足すると「腎虚」となり、質の良い卵をつくる事ができなくなります。妊娠までの過程は、一つひとつが独立して個別に成立するものではなく、一連のつながりある変化ですから、元気な卵ができないということは良い受精卵もできにくく、それは着床のしづらさにつながります。
次に、身体の潤いや栄養である「血」は、子宮内膜を養うとともに、卵が成熟する際の栄養の役割も担います。着床の要となる良質な子宮内膜をつくるにはお血(血のめぐりが停滞した状態)を改善することが不可欠です。
そして、身体機能をスムーズにしてバランス調整を担う「気」のめぐりがスムーズであることによって、体や神経のストレスを軽減し本来の機能を発揮できる状態にすることが期待できます。

機能性不妊(原因不明不妊)と不妊と漢方

医学的な不妊原因がないケースでも、漢方的に妊娠しづらい状態を抱えているケースはたくさんあります。医学的な対応と漢方の診方を併せて取り入れていくことで劇的に成果が上がる場合もあります。精神的なストレスなど病変部位として表れないものは、漢方でバランスを整えると効果的です。漢方薬による体質の調整は、副作用の心配もなく、また、不妊治療との併用も可能です。自然妊娠を望まれる場合も不妊治療のプラスアルファとされる場合も、カラダ自体を良くすることは、妊娠への前進であるといえます。体調が良くなることで妊娠されるケースがたくさんあります。

子宮頸管粘液不全について

子宮頸管粘液不全の病態

腟内や子宮頸管内は、子宮内や腹腔内への細菌の侵入を防ぐため酸性に保たれており、精子にとって好ましい環境ではありませんが、排卵の数日前に卵胞の直径が10mmを超えると卵胞からのエストロゲン分泌の急激な増加により、頸管上皮が刺激を受け、粘液の分泌を促します。排卵直前の日に頸管粘液の量が少ないか、性状不良のため精子の侵入が障害されている場合など、頸管粘液の性状が精子の遡上に適さないものを頸管性不妊といいます。

子宮頸管粘液不全の症状

頸管粘液の性状と妊娠は高い相関があり、頸管粘液が良好な場合は、54%の妊娠率を示しますが、頸管粘液が不良の場合は、妊娠率は37%に低下するという報告もあります。頸管粘液の分泌異常が起きると精子の頸管内への侵入が障害され、不妊となります。

子宮頸管粘液不全の原因

子宮頸管の先天的異常、頸管内の炎症、クラミジア感染や淋菌感染、子宮頸がんの異型性や上皮内がん、卵胞発育障害または早期黄体化、などにより頸管粘液の性状不良や分泌低下が起きるとされます。

子宮頸管粘液不全に対する西洋医学での治療法

クラミジア感染や淋菌感染などによる頸管粘液の性状不良には、抗生物質などの投薬治療が行われます。不妊治療では、頸管粘液の影響を受けない人工授精が行われます。

子宮頸管粘液不全に対する漢方での対応

頸管粘液の分泌に必要な、卵胞の発育とそれに伴うエストロゲン分泌を行うのは、生殖活動とホルモン分泌を担う「腎」の役割です。また、頸管粘液の性状を良好に保つには、代謝がスムーズであり、気血水のめぐりに滞りがないことも大切です。カラダ全体の調子を整えながら、個々の体質や状態に応じて漢方薬を調整していきます。

子宮頸管粘液不全と不妊と漢方

医学的な原因の改善とともに、漢方薬で気血水の状態を整えることは子宮頸管粘液の分泌と性状の改善に効果的です。漢方薬による体質改善は、不足している潤いを補い、バランスを整え、滞っためぐりをスムーズにすることにより、子宮頸管粘液不全が改善され、妊娠しやすい体づくりにお役に立てることと思います。